今日は久しぶりにCD借りたので

CDの紹介でもします。
とはいえ誰も読んでいないのでまあメモ代わりですな。

『TSUZULUES/黒葛野敦司(つづらのあつし)』

TSUZULUES(ツヅルース)

  • バリトンサックスがリーダーという異色のアルバム。

バリトンサックスってのはコレ↓

サックス属の中でも低音を担当し、一般的には吹奏楽・ビッグバンドなどを低音から支える楽器。スカやファンクなどホーンセクションが比較的小振りな時はともかく大人数編成のホーンセクションにあっては「あ、あのデブいサックスね」くらいにしか思われない何とも地味な楽器である。
低音楽器であるため音の立ち上がりも遅く、それ故アルトやテナーよりも早いパッセージを苦手とすることがこの楽器をリードセクションから遠ざけている一因であろう。
その為リードセクションが華やかなフレーズを奏でる間低音域の和音を支えたり、小難しいシンコペーションをパーカッシブに吹いたりと割と地味な活動が多く、その重要性もはっきりとは見えにくい。
さて。前振り(というか個人的な思い入れ)が長くなってしまったが、要するにバリサクとは地味な楽器なのである。
そのバリサクを軽々と吹きこなしているアルバムがこれ。
まず一曲目のDona leeでもうやられた感たっぷりなのだがその後も凄まじいバリトンの演奏がエンドレスに続いていく。
また、このアルバム、コンボであったりビッグバンドであったりと多彩な形態の楽曲が収録されているのだが、すごいのがサックスは全てつづらの氏の多重録音だという点である。
それ故細かいフレージングからスイング、ビブラートに至るまで完璧に揃ったサックスセクションが聞ける。
個々のプレイヤーの「ズレ」が生み出すグルーブの魅力も捨てがたいが、この一糸乱れぬセクションワークもまた面白味たっぷりである。まさに一人グレン・ミラー楽団!
ソロ・プレイヤーとしてのバリトンサックス奏者と言えばジェリー・マリガンがあまりに有名だが、現代のバリトンサックス奏者にとってはこのアルバムも欠かすことのできない一枚と言えるのでは。